2016年02月06日

神の創造の業(わざ)〜神国出雲からの提言〜

今年は各地で雪害が報道されました。被害に遭われた地域の方々には、心からお見舞い申し上げます。
島根県も山間部はかなりの積雪でしたが、私どもの居住区、松江市内は例年になく雪が少ない毎日です。まあ、これから積もるのかしら・・・?

さて、冒頭に1枚の画像を載せます。(食事中の方はすみません。)
DSCF1499.JPG

これは、かなり高齢(年齢不詳の保護犬10歳以上)の仔の、腹腔内に出来た腫瘍(直径6cm)です。病理検査には出していませんが、おそらく悪性腫瘍でしょう。同じくらいの大きさの乳腺腫瘍を3か月前に摘出したばかりでした。最初は、内蔵の何処かの臓器からの発現で大きくなったものかと思いましたが、良く調べると結局、腹壁からお腹の中に腫瘍が広がったものでした。

まあ、手術の解説なんぞはどうでもいいことで、ここで驚くべきことは、この腫瘍が腸管にもお腹の中のどの臓器にも癒着していなかったということです。
腫瘍の表面が膜で覆われています。腸を吊っている‘大網’という膜がありますが、それがきれいに腫瘍を包み込んでくれたお陰で、腸や膀胱などに癒着しなかった様です。
ガッツリ、摘出しましたから、驚くことにワンチャンはいまでもとても元気で食欲モリモリです。

自分自身の組織が暴走して大きくなったものですが、この様にお腹の膜がしっかり包み込んでそれ以上奥に行かないように、他の臓器に影響を及ぼさない様に頑張っていました。これをみて、「神の創造の業」に改めて頭を垂れざるを得ません。
自己防衛機能を遺伝子にインプットされているその創造の妙味は、仮にどんなに人が人口生命体を創ろうと頑張っても、無理だな〜と感じました。

生命の神秘は実に奧妙です。生き物を扱う学者は、極める程‘神’の創造の業に驚愕します。決して、自然発生ではない、何らかの‘意志’が働いて創造されたと考えます。

再生医療の分野に、メカノバイオロジーというのがあります。一つの小さな例ですが、私たちの皮膚が傷付くと、細胞が増殖して傷を塞ぎます。細胞が傷つくと、メカノセンサーというのが働いて細胞応答を導く適切な信号を出します。そこにタリン、インテグリン、アクチン繊維などの接着斑関連タンパクが働いて、傷を囲む細胞が間葉系細胞に形質転換して前進します。同時に、細胞膜前端の裏側にストレスファイバー様構造が発達して薄い膜を形成し、傷を取り囲むように細胞応答を繰り返して傷を治癒していきます。

簡単に6行で書きましたが、実際にはもっと複雑な機能が働いています(A4用紙15ページ位の解説)。傷一つとっても、細胞レベルで事細かな、複雑な機能が遺伝子に備わる。こんなことが、突然変異の進化=つまり「偶然の産物」でしょうか?

ダーウインが進化論を唱えましたが、いまどきあんな古い説を信じている方がおかしいでしょう。物理学では、入力より出力が大きくなる事はあり得ません。プラスのエネルギーが加わるから出力が増えるのです。
近い将来、「突然変異で進化した・・・」などという話は笑える冗談になるでしょうね。

以上
posted by 城北通り動物病院松江 at 13:49| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月11日

年頭にあたり

皆さま、明けましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりありがとうございました。
本年もよろしくお願いします。
久しぶりのブログ更新です。忙しくてなかなか更新できませんでした。お詫び申し上げます。

今年は暖冬で梅の花が咲きだしています。
当院では、年末・年始は恒例で門松が飾られます。これ、買ったらおそらくペアセットで5万円はするでしょうね。毎年の事ですが、当院の顧問が手作りで作成して下さっています。実家に少し裏山がありまして、材料はそこから調達です。毎年改良が加えられています。
ご希望の方は、12/1までにお申し込みください。ひょっとしたら作ってくださるかもしれません。(笑)

例年、当院は12/31日〜1/3日まで休診でした。しかし、どこも開いていないということで毎日急患対応に追われ、気付いてみるともう正月が終わっていました。
毎年思いますが、正月なんて無い方がいい!!
以上


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DSCF1444.JPG   顧問の力作
posted by 城北通り動物病院松江 at 19:02| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月18日

エビデンスを外れた創傷治療

ブログ更新が遅くなりました。すみません。今回は珍しく獣医療のお話し。

今回のテーマは‘エビデンス’についてです。まず、エビデンスの意味から。
「証拠・根拠、証言、形跡などを意味する英単語 "evidence" に由来する、 外来の日本語。」
(wikipedia)だそうです。
動物医療でも近年、様々な治療法に対してその根拠となるエビデンスは?と言われます。
要は、大学の先生や研究者の方々がたくさんの症例や治験に基づいて、そのデータを基に治療法を確立したもの。まあ大多数の承認のもとでの治療法という意味なんでしょう。

こういうエビデンスや○○学会で決めた治療法を基本として、学校でも習っていきますし、医療裁判での判断根拠の一つとして用いられます。
もちろん、私も出来るだけ多くの「確立されたエビデンスに基づく治療法」を重視しています。しかし、時折、これやっても治らないじゃん?という症例に遭遇します。

生物は人が設計図を描いて作成したロボットとは違います。例えば10頭のワンチャンがいると、その10頭はそれぞれの継代遺伝子を持っており、育った環境因子も異なります。
だから、エビデンスでこの病気はこうすると良いというものがあったとしても、必ずしも全部に適応できるわけがありません。また、医療の進歩と共に、昔当たり前の治療法が今では真逆…という事も。将来はもっと変わるでしょう。

で、下記の写真左です。これは外に出る猫ちゃんの咬まれて化膿して上皮が剥がれた傷です。
こういう創傷治療は、昔はとにかく毎日消毒して乾かして・・・というもの。しかし、ここ数年前からは、空気に触れさせず、湿った状態を保つための特殊包帯で覆うように・・・というのがエビデンス。
それを信じて2か月治療しましたが全然ダメ。遂に入院してもらい、エビデンスとは真逆の治療を2週間やったら一気に小さくなりました。写真右の今ではほぼ完治しています。


DSCF1277.JPGDSCF1327.JPG

生物は多種多様。ある程度の治療方針はあったとしても、決してそれを鵜呑みにしないという事なんですね。
人は歩みを止めたら終わりです。毎日、日進月歩で変わって行く先進医療にいつも注視しながら、柔軟に対応する事が重要なんですね。
以上


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かわいいロップちゃん。眼はどこに?


posted by 城北通り動物病院松江 at 11:42| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする