2015年10月18日

エビデンスを外れた創傷治療

ブログ更新が遅くなりました。すみません。今回は珍しく獣医療のお話し。

今回のテーマは‘エビデンス’についてです。まず、エビデンスの意味から。
「証拠・根拠、証言、形跡などを意味する英単語 "evidence" に由来する、 外来の日本語。」
(wikipedia)だそうです。
動物医療でも近年、様々な治療法に対してその根拠となるエビデンスは?と言われます。
要は、大学の先生や研究者の方々がたくさんの症例や治験に基づいて、そのデータを基に治療法を確立したもの。まあ大多数の承認のもとでの治療法という意味なんでしょう。

こういうエビデンスや○○学会で決めた治療法を基本として、学校でも習っていきますし、医療裁判での判断根拠の一つとして用いられます。
もちろん、私も出来るだけ多くの「確立されたエビデンスに基づく治療法」を重視しています。しかし、時折、これやっても治らないじゃん?という症例に遭遇します。

生物は人が設計図を描いて作成したロボットとは違います。例えば10頭のワンチャンがいると、その10頭はそれぞれの継代遺伝子を持っており、育った環境因子も異なります。
だから、エビデンスでこの病気はこうすると良いというものがあったとしても、必ずしも全部に適応できるわけがありません。また、医療の進歩と共に、昔当たり前の治療法が今では真逆…という事も。将来はもっと変わるでしょう。

で、下記の写真左です。これは外に出る猫ちゃんの咬まれて化膿して上皮が剥がれた傷です。
こういう創傷治療は、昔はとにかく毎日消毒して乾かして・・・というもの。しかし、ここ数年前からは、空気に触れさせず、湿った状態を保つための特殊包帯で覆うように・・・というのがエビデンス。
それを信じて2か月治療しましたが全然ダメ。遂に入院してもらい、エビデンスとは真逆の治療を2週間やったら一気に小さくなりました。写真右の今ではほぼ完治しています。


DSCF1277.JPGDSCF1327.JPG

生物は多種多様。ある程度の治療方針はあったとしても、決してそれを鵜呑みにしないという事なんですね。
人は歩みを止めたら終わりです。毎日、日進月歩で変わって行く先進医療にいつも注視しながら、柔軟に対応する事が重要なんですね。
以上


DSCF1326.JPG

かわいいロップちゃん。眼はどこに?


posted by 城北通り動物病院松江 at 11:42| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする